日本でアジアを究める: (4) 神戸大学

投稿者: | 2015年7月29日

1. 神戸の沿革 - 海外との交易窓口

今まで続けて国内の大学をとりあげてきた第一弾の最後は、前々回の京都大学の投稿でも言及した神戸大学です。神戸大学は旧帝大ではありませんが、大阪帝国大学より早く1920年代に発足した工科(工業)、商科(商業)、文理科大学-いわゆる旧官立大学の一つです。

近年、大阪大学が大阪外国語大学を統合したように、神戸大学は神戸商船大学を2003年に統合しています。

かつて神戸はアジア最大の貿易港でしたが、1980年頃にコンテナ(海運貨物)の取扱量で香港とシンガポールに抜かれ、1990年代へ入ると北東アジアでも韓国の釜山に追いつかれて、1995年の震災により国内トップからも陥落しました(もっとも、今の日本では神戸港に限らず、国内上位の何港かの取扱量を足し合わせてようやく左記の釜山港の取扱量に並ぶ、といったレベルまで下がっているようです)。

2. 神大とアジア

アジアに関連する専攻等として、神戸大学では旧教養部の廃止を受けて設置された国際文化学部(*)が、現状、四つの講座で構成されており、そのうちの一つ、地域文化論講座のなかにアジア・太平洋文化論があります。

立ち位置としては東京大学の教養学部にあるアジア・日本研究コースと似ていますが、2015年現在、神戸大学のそちらの講座には、東南アジアの国を専門とする複数の教員が所属しており、この地域について重点的に学びたい人には-特に、どちらかと言えば人文系のアプローチが好みの学生にとっては、選択肢として考えるうえで魅力的でしょう。

なお、東大の教養学部を引き合いに出したついでに付け加えておくと、この学部に関する以前の投稿で挙げた総合社会科学分科に類するものとして、神戸大学では、発達科学部(*)の人間環境学科にある社会環境論コースが、それに近そうです。

3. 神大の看板

最後に、戦前、神戸商業大学として発足した神戸大学の看板の分野、経営学部など社会科学系の学部で見られる、アジアに係わる取り組みを幾つかふれておこうと思いましたが、それはまたいずれ別の機会に。(※)

※ ちなみに神戸大学では、この分野での教育環境が今でも特に充実していて、例えば、大学の総合図書館より(分館にすぎないはずの)社会科学系図書館の方が、開館日の多さや開館時間の長さ等で上回っていたりします。

(*)追記事項:国際文化学部と発達科学部、両学部の統合(2017年度~)については、年末の記事「日本のトップ大学(首都&関西編)」の中でも言及しています。

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