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2. 日本の大学

教養系の学部選択

前々回より、いわゆる文系の諸学部を系統別にとりあげ、まず社会科学系の法学部と経済学部を、続いて人文系の文学部と教育学部(ただし大阪大学では教育学部に代えて人間科学部、および外国語学部)を見てきましたが、これ以外で旧帝大にあるのが以前「教養系」として挙げた東京大学の教養学部(教養学科)と、名古屋大学の情報文化学部(社会システム情報学科)、そして京都大学の総合人間学部(一部の学系)です。

前回の最後に述べたとおり、例えば文化人類学など、学士課程では教養系の学部にしかない専攻もありますが(※)、一方、他の学部でも学べそうな専攻等も少なからずあります。そこで、他とは異なる教養系の学部の特徴を、ここで改めて整理していきます。

まず、特に法学部と経済学部といった社会科学系の学部と比べてみた時、「少人数教育」が第一の特徴として挙げられます。例えば法学部だと、日本最高峰の東大ですら、時に「マスプロ教育」とも揶揄されるような大教室での講義に象徴されるスタイルと違い、教養学部では、多くて数十人から、少なければ数人程度の履修する科目が中心で、稀ながら教員と一対一の授業になる場合さえあります。前者の社会科学系学部では、ゼミ(セミナー)ほか一部の科目以外は一方的に講義を聴き続けることにもなりがちですが、後者の教養系学部だと、多少は双方向的な、それだけ時に緊張感も伴う(?)授業が増え、結果として、論理性を磨くとか、前にふれた「リベラル・アーツ」を培っていくのにも…もしかすると良いかもしれません。

次に、語学の重視も、教養系の特徴と言えるでしょう。引き続き東大の例で言えば、1~2年次の前期課程だけでなく3年次からの後期課程でも、教養学科への進学者は外国語の科目を少なからず履修する必要があります。この辺り、他の学部では-たとえ文学部でも、外国語や外国文学などの専修は例外として、そこまで多くは求められなさそうです。

ここまでまとめてきた教養系学部の特徴のうち、とりわけ冒頭での方に関しては、例えば法学部における憲法、民法や、経済学部のマクロ経済学、ミクロ経済学みたいに、学部生の全員が履修し、結果的に大教室へ詰め込まれての講義ともなるような、基幹の科目が無いということとも繋がります。その教養系学部の科目について、前回、今回と挙げてきた文化人類学とも関連させつつ、いずれ改めて踏み込んでいきたいと思います。

※ ちなみに、教養系学部の無い旧帝大だと、北海道大学東北大学などは文学部で人類学を学べます。

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