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2. 日本の大学

人文系の学部選択

前回、社会科学系の学部選択をテーマとしたのに続き、今回は人文系の学部をとりあげていきます。まず、人文系の学部として、旧帝大では文学部教育学部の二つが挙げられますが、ただ大阪大学だけは教育学部がなく、代わりに人間科学部で教育学を扱っています。なお、阪大に関しては、大阪外国語大学との統合に伴い発足した外国語学部も加えて、人文系の学部が三つあります。

このうち教育学部(人間科学部)からふれていくと、そこで主に扱われるのは、教育心理学や教育社会学といった学問分野から、教育行政・学校経営等まで様々です。他方で、大学教員はともかく、中等教育の教員養成に関しては、もともと、帝国大学ではない官立大学-より具体的には文理科大学(現在の筑波大学、広島大学)が中心的な役割を担うよう期待されていました。この辺り、社会科学においても、とりわけ経営学等では、旧帝大ではなく一橋大学や神戸大学といった旧商科(商業)大学が主導的な役割を果たしてきたのと似ています。

閑話休題、もし教育学部へ進学したい場合、そこでアジアについても学ぶなら、大学によっては…例えば、先だって名古屋大学九州大学についての投稿で言及したとおり、国際社会文化コース(名大)や国際教育文化コース(九大)など、カリキュラムとして学びやすくなっている所もありますし、また、他の旧帝大でも、北海道大学のESDキャンパスアジア・プログラムや東北大学のアジア共同学位開発プロジェクトのように、事業ベースで適当な機会が見つかりそうな所もあります。

続いて、文学部に関しては、それこそ文学から哲学、史学ほか、教育学部以上に多様な学問分野が扱われてきました。ただアジアの文学や言語、歴史について学ぶのも良いですが、とはいえ、大学から出た後のことを考えると、より直接的に社会で役立つ知識や技法も身につけておいた方が良いかもしれません。その意味で、例えば社会学等で教わる社会調査や統計的手法とか、地理学でのデータの扱い方と地区別の分析法などは後々に役立ってくるでしょう。この他、文化人類学の観察・調査法も、企業のマーケティングに活用されたりしていて、ノキアほか海外のメーカーで有名な事例もあります(※)。

以前、教養系の学部についての記事で述べたことで、文学部でも同様に言える点として、例外的に、一生働かなくても済む程度の資産を持つ富裕層の家族や、あるいは、しっかりとした家業があり、(大学で何を学んでいても)いずれそれを継げば良い、というような恵まれた境遇にでもない限り、誰しも大学卒業後は自ら仕事に就き、稼いでいく必要があるはずです。そうした将来のことも考えながら、学部・専攻等の選択で道を失わないようにしたいものです。

※ ちなみに、東京大学の教養学部や京都大学の総合人間学部など、教養系の学部が別にある大学では、よく文化人類学はそちらの学部の方で扱われています。

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