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2. 日本の大学

社会科学系の学部選択

前回まで、教養系の学部で学ぶことを主に想定して、留意点など幾つか挙げてきましたが、そもそも、いわゆる文系の生徒が大学進学を検討する際に候補となるのは教養系の学部に限りません。というより、法学部、経済学部、文学部ほか、どこの大学にもありそうな他の学部と比べて、むしろ教養系の学部はマイナーな方でしょう。

そこで、これから複数回にわたり、大学へ進学するに当たって選ぶ対象となる学部を、それぞれ系統別で簡単に整理していきます。なお、ここでは旧帝国大学の組織構成を参考に、今回まず社会科学系の学部について述べ、続けて人文科学系の学部を次回とりあげます。

はじめに、社会科学系の学部としては、旧帝大の七大学に共通して、法学部経済学部の二つの学部があります。このうち法学部に関しては、その学部内での学科ないしコース等として、法学系と政治学系とに分けられていることも多いです。この点、他の大学では政治学と経済学で一つの学部になっている場合もありますが(例.早稲田大学: 政治経済学部)、政治学は法学部に入れられるのが旧帝大での統一的なスタイルのようです。

法学部で扱われる学問分野が法学と政治学に二分できるとすれば、同様に経済学部では経済学と経営学に大別されます(※)。以前、経済学と比べての経営学に対する伝統的なイメージについてふれましたが、帝国大学ではない官立大学として発足した神戸大学と一橋大学は経営学部や商学部といった学部が個別にある一方、旧帝大では経営学が経済学部で部分的に扱われてきました。

 

社会科学の領域では、およそ以上のように分けられるなかで、もし法学部へ進学してアジアについても幾らか集中的に学ぶなら、アジア諸国の政治に関連した科目や、また、将来に海外事業等へ携わることを考えていれば、基本的な法律科目を学んだうえで、国際取引法・国際私法に加え国際経済法などまで受講できると良いでしょう。このうち法学系の科目に関しては、前者の国際取引法等の科目で、個別の商取引に際して役立つ知識を得られる一方、後者の国際経済法で、かつて当サイトでも言及した FTA (Free Trade Agreement) のほか、WTO (World Trade Organization) のような枠組みについても理解を深められるはずです。

他方、経済学部へ進学した場合には、アジア経済や国際ビジネスの関連科目が薦められるのは前回にも挙げた通りです。ただ、いずれにせよ、ここで掲げてきたような科目は法学部でも経済学部でも履修可能な形で開講されるケースもありますので、そうした機会は少しでも活かして、大学での学びをより充実したものにしていくことが望まれます。

 

※ 旧帝大の経済学部として、これ以外に、少し変わったところでは、九州大学で1977年に設置された経済工学科があるほか、東京大学で2007年に新設された金融学科もあります。

 

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