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2. 日本の大学

将来を考えて計画的に履修する

前回に述べたとおり、大学へ進学して、特に教養系学部へ入った場合などは、標準で4年におよぶ在学期間を通じて何を学んだのか、結局よく分からない大学時代にもなりかねません。仮に、アジア新興国の成長性に関心があるとして、社会科学系の学部であれば…例えば経済学部なら、アジアの経済に関する科目や、企業の海外展開(特にアジア方面)についての科目を履修していけば良いでしょうし、法学部なら、アジア政治の関連科目等を選んでいけば良いのでしょうが、教養系の学部では、このような科目が都合よく開講されているとは限りません。

その点、大学・学部によっては、一定の単位数まで他学部の科目を履修することも認められている場合があります。たとえ教養系の学部の所属していても、もし、こうした制度が用意されていれば、それを利用して前掲のような科目(アジア経済ほか)を可能な範囲で選んで履修していくのも、一つの方策として考えられます。

他方、そうした科目ごとの細かい対応にとどまらず、より広い観点から、どのようなタイミングでどういった科目を履修していくべきか、長期的に計画していくことも重要です。その際には、大学の先生や先輩から情報・助言を集めてみても良いでしょう。もし教育にも意欲的な先生(※)なら、教養系の学部でも、例えば経済学や政治学、社会学ほか特定の学問分野で専門的なレベルまで学修していくのに良い履修プランを示してもらえるかもしれません。

ただ、ここまでできたとして、まだ注意すべきことが他にあります。それは、今回のタイトルにも掲げましたが、将来を見据えて履修していく、という視点についてです。上述のように情報・助言を得た先生や先輩が、もし実社会でも充分な経験を積んできた方であれば良いですが、今日の日本の大学で-とりわけ当サイトで対象にしているような上位の国立大学において、そういった社会人学生、教員等の割合はまだまだ低いでしょう。

この時代、卒業後に大学院へ進学し、将来は大学やシンクタンクで研究する道を目指す場合はともかく、それ以外で…例えば産業界で働くつもりの場合には、将来、実社会でどう役立つか考えながら履修科目を選び、学んでいくことも、ある程度は必要になってきます。実業界での経験も豊富な先生や先輩が学内で身近にいたら良いですが、そうでなければ余所で探す他ありません。

その候補として筆頭に来そうなのが家庭-学生自身の親ですが、ここでも、前述のとおり注意すべきなのは同様です。自らは稼がず養ってもらっている専業主婦・主夫の場合だけでなく、勤めていても、それが官公庁、規制産業等だったりすると、時として経済情勢や社会の変化に疎く、かつて日本がアメリカにも迫るような経済大国だった時分、ないし高度成長期の頃の認識が強いまま、時代錯誤的なことしか言わないおそれもあります。

この点、先述のように適当な人が大学でも家庭でも見当たらなければ、いよいよ本格的に学外で機会を求めていくしかなくなってくる訳ですが、その具体策については、いずれ改めてまとめたいと思います。

 

※ 大学教員の職務として、学生の「教育」の他に「研究」(例えば、(できれば、当該学問分野で国際的に影響力のある)学術誌へ掲載されるような論文を執筆すること)があり、後者も、とりわけ旧帝大など主要国立大学では特に重要です。

 

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