教養系学部で学ぶ際の留意点

投稿者: | 2016年1月17日

前回の最後で述べたように、教養系の学部へ進学した場合のメリットとして、他学部と比べて提供される科目が多様で、より幅広い選択肢から履修していける、という点が挙げられます。ただ、それは同時に、ややもすれば大学在学中なにかと雑多な学識だけ得て、一方、4年間でこれを修めたと具体的に言える程のものは何も無い、といったことにもなりかねません。

いわゆる文系の学部でも、例えば法学部なら、憲法、刑法、民法、会社法・商法ほか、どの大学でも教わる基幹科目がありますし、経済学部においても、マクロ経済学やミクロ経済学など、基本のカリキュラムがあります。そうした社会科学系の学部と対照的な状況が、人文系と、特に教養系の学部でよく見られます。

もっとも、ひとまとめに教養系の学部と言っても、その教育体系・方針等は様々で、大学ごとの違いはもちろん、同じ学部のなかでも専攻等によって随分と差があったりします。東京大学教養学部をとってみても、例えば教養学科の総合社会科学分科に属する国際関係論コースでは、後期課程(専門課程)へ進むと国際政治、国際法、国際経済の各科目を1学期ずつ集中的に、計3学期かけてみっちりと学び、この3科目を基礎とする土台づくりの教育が確立されています。

他方、教養学科でも地域文化研究分科では、必修として指定されている科目こそ一応あっても、実際それは必修たるべきものとは限らず、また、科目により担当を外部の非常勤講師へ委ね、その授業内容も当該講師の裁量で比較的自由、といったケースが起こり得ます(こうした場合、必修科目としての意味合いはあまり意識されず、(普通の選択科目と同様に)ただ担当講師の研究領域と近い内容で授業を進められていく可能性も)。

この点、前掲の法学部や経済学部とは異なり、共通の、根幹となりそうな科目群が無い教養系学部の…とりわけ地域研究のような分野では、多少とも仕方のない面もあります。とはいえ、そのうえでなお、冒頭で挙げた教養系の長所もできるだけ活かしつつ、大学での学びをより実り多くしていくにはどうしたら良いか、次回、社会科学系など他の一般的な学部のことにも少しふれながら続けていきます。

 

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