前回の最後に告げたとおり、当サイトで今年とりあげてきた日本国内の大学を振り返ります。最初に挙げるべき大学として東京大学は外せないところですが、以前、首都圏の有力私立大学の「ローカル大学」化に言及した際、この早慶ほどではないものの東大でも同様の兆候が見られることを述べました。そうなると東大は、国内最高の大学として昔ほど絶対的な存在ではなくなってきているのかもしれません。そこで今回は、よく東大と並び称される京都大学も合わせて振り返り、ついでに同じ関西圏の他の上位大学までまとめて見ていきます。
まず、東大でアジアに関して学べる学科として、以前、教養学部の教養学科を挙げました。同学科の地域文化研究分科にアジア・日本研究コースがあり、特に人文系のアプローチを採りたい場合に適している一方、経済などに関心の強い学生向けでは総合社会科学分科があります。ただ、教養学科は総じて人気が高く、(1, 2年次の前期課程で所属する科類にもよりますが)大学入学後の成績次第では、3年次からの進学振分けで上記の学科へ入れないおそれもあります。ちなみに、新興国や途上国の開発では、農学部の農業・資源経済学(農経)専修にも、関連の研究室が幾つかあります。
次に、京大だと、東大で挙げたような専攻に相当する学科は見当たらないものの、文学部や経済学部ほか複数の部局によるアジア研究教育ユニットを通じて提供される科目が、学生の所属によらず多くの学部で受講できるようになっています。なお、学部レベルではなく大学院レベルでは、同学にはアジア・アフリカ地域研究研究科という独立研究科があり、そのなかでアフリカ地域研究専攻、グローバル地域研究専攻とともに東南アジア地域研究専攻があります。
続いて、大阪大学では、2007年に大阪外国語大学との統合から発足した外国語学部以外に、国際的な色彩の強い専攻等が他の学部でも見られます。このうち人間科学部(グローバル人間学)と法学部(国際公共政策学科)については以前に記しましたが、経済学でも、学部では明確に分けられていないものの同研究科(大学院)で経営学系専攻にグローバル・マネジメントコースとして設けられています。
最後に、神戸大学に関しても少しふれておくと、以前、上掲の東大教養学部の地域文化研究分科に似た専攻として国際文化学部の地域文化論講座(アジア・太平洋文化論)を、また総合社会科学分科に近いものとして発達科学部の人間環境学科(社会環境論)を挙げましたが、同学では、2017年度より両学部を国際人間科学部(仮称)として統合する方針と報じられています。
以上、当サイトの初期(2015年7月)に個別でとりあげた日本の各大学について、一部アップデートも兼ねながら振り返ってみました。次回は、本年最後の投稿としてまとめつつ来年へ繋げていきます。