大学の世界ランキング(QS) 2015年度版について

投稿者: | 2015年9月29日

今月(2015年9月)最後の投稿として、月中にQSより発表された大学の世界ランキングの2015年度版につき、ここで以下の通り整理しておきます。

日本国内ASEANの上位大学に関してはそれぞれ別頁で一覧にしてありますが、はじめに日本の大学から見ていくと、まず京都大東京大を僅差で上回り、国内では首位(世界38位)になりました。もっとも、京大も含めて日本の上位陣はほとんど振るわず、東京工業大早稲田大がわずかに順位を上げた以外、他の大学は軒並みランクを落としました。この点、東工大のランク・アップは、QSの理工系重視の傾向が強まったととれなくもないものの、一方の早大については、昨年来、小保方博士(当時)をめぐる同学の騒動に接してきた者からすれば、多少とも違和感があるところでしょう。

東アジアで日本と同じく島嶼国(島国)のインドネシアとフィリピンにおいても、両国トップの大学のランクが揃って下がりました。インドネシア大学は310位より358位へ、フィリピン大学に至っては367位より400番台(401~410位の間)へと、400位以内から外れて1番ずつ順位付けされなくなりました。また、以前に挙げたフィリピンNo. 2のアテネオ・デ・マニラ大学も、460番台(461~470位)より500番台(501~550位)へランクを落としていますが、他方、インドネシアNo. 2のバンドン工科大学は、工科大だけに(?)やはり460番台より430番台(431~440位)へ逆に順位を上げています。

東南アジアの島嶼国以外の国(大陸国)では、タイもチュラロンコン大学などの順位が少し下がりましたが、何より目を引くのは、このように不調気味の近隣諸国の大学と対照的な英連邦-シンガポールとマレーシアの大学の好調さです。前年の22位より12位に、世界トップへの順位差を一気に縮めたシンガポール国立大学に続いて、同国No. 2の南洋工科大学まで39位から13位へ躍進しました。マレーシアでも、マレーシア国民大学のランク・ダウンを例外として、国内首位のマラヤ大学から、理、工、農科系の三大学まで、国立の伝統校は総じて堅調でした。なお、同国にキャンパスを有する豪州のモナシュ大学、英国のノッティンガム大学も、やはり順位を上げています。

以上をまとめると、2014年度と比べ、2015年度のランキングでは、東南アジアでも英連邦の国々の大学はランクが上がった一方、それ以外のASEAN原加盟国と日本では、理工系の大学を除き全体的にランクが下がりました。どちらも、先日の投稿で述べたQSのランキングの特徴がより色濃く表れてきたとも見れますが、いずれにせよ、ASEANへ後から加盟した他の5ヶ国に関して、QSの世界ランキングでは各国最高の大学さえ影も形もない、という点は相変わらずです(※)。

 

※ 他方、QSのアジア大学ランキングでは、この5ヶ国のうちブルネイとベトナムのトップ校も、まだ100番台(101~200位)ですがランキングへ入ってくるようになっています。来年度以降の変化を見ながら、将来的には、当サイトでとりあげる大学を、アジアのランキングの方も参考にしつつ調整していくかもしれません。

 

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