日本の未来に向けた一つのシナリオ

投稿者: | 2015年9月25日

今世紀へ入ってから日本の人口が減りだした一方、そのうち高齢者の占める割合は増え続けており、特に、社会を支える生産年齢人口の減少が深刻化しつつあります。こうしたなか、今後、現に社会で活躍する現役世代の質・量を今まで以上に引き出していくことの重要性は、疑いのないところでしょう。

まず「」の確保に関しては、よく今までにも言われてきたことの一つに、女性の活用があります。先日の投稿でもふれましたが、昔と違い家事だけではそれほど(=「専業」主婦などと呼べるほど)に時間を要しなくなった今、無職の主婦も働き手として加えていければ、たしかに、そうした点をある程度はカバーしていけます。もっとも、これを促していくためには、国民年金制度(第3号被保険者制度)や、税制上の抑止的なファクター(配偶者(特別)控除、いわゆる「103万円の壁」「130万円の壁」ほか)の見直し等が求められてくるかもしれません。

「量」については以上のとおり軽く止めておいて、ここでは、「」を上げていく方へ重点を置いて以下に続けていきます。一案として、前回の「偏差値」に照らして言えば、各個人がそれぞれ偏差値の高い領域で自らを磨き、それに関連した職務へ集中して従事できるようになれば、少ない人数でも社会全体としてのパフォーマンスは今と同等に、あるいは今より高く上げていける可能性があります。

そのためには、例えば大学に関して言うと、上位の大学はまだしも、学力の偏差値は高くない他の大学にあっては、それこそコミュニケーション能力など、学力以外で学生の偏差値が高い力を見出し、これを伸ばして社会で役に立つ形へ育んでいくような、職業教育的なカリキュラムを拡充、強化していくことが望まれます。

実際、そうした傾向は一部で既に表れてきています。関西の例では、関関同立と総称される中堅クラスの大学から、スポーツ健康科学部(同志社、立命館)、人間健康学部(関西)、人間福祉学部(関西学院)といった健康、福祉に特化した学部が見られだします(他方、国内上位の国立大学には、同様の学部は見受けられません)。先だって述べたとおり、介護をはじめ、こうした分野へ少なからぬ人手が必要になってくることは避けがたく、そこで高いパフォーマンスの発揮できる人材を育成できれば、学力は低い学生を受け入れる中下位校の存在意義も高められるでしょう。

この他、例えば外食、小売業界向けでは、一定の店舗運営能力(例.在庫など計数管理)と、できれば語学力(英語、中国語ほか)を併せ持った、接客スキルの偏差値が高い人材は、ニーズも高いはずです。その点、以前にタイやフィリピンの大学で例示したようなツーリズム、ホスピタリティ系の専攻等を、(学術的な内容より)実践的な教育を重視しつつ充実させていければ、そうした大学の存在意義も、将来的な日本全体のパフォーマンスも、さらに増強できるのではないでしょうか。

 

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