1. 名古屋大学 総説
帝国大学としては1930年代に発足した名古屋大学は、大阪大学に続く最後の旧帝大です。阪大と同じく当初は医、理、工学の部局しかなく、いわゆる文系の学部も加わり総合大学となったのは戦後のことです。こうした経緯もあり、歴代の総長は理系出身者がほとんどで、最近の文系出身者では半世紀前(~1963)まで遡るようです。その辺りは、大阪大学よりむしろ京都大学に似ています。
この点、今世紀に入って同学の関係者が2008年、2014年とノーベル賞を受賞し、その意味で理系分野では京都大学に近づいてきました。ただ、ノーベル賞に関して、文系分野では文学賞など東大卒の受賞者がいる程度で、特に経済学賞は日本人で一人の受賞者もいません。この賞は基本的に学者へ贈られるものであり、他大学も含めて今後の奮起が期待されます。
2. 名古屋大学の学部
余談はその辺でさておくとして、そろそろ本題へ入っていきます。とはいえ、これまでの話の流れから(?)まず経済学部より見ていくと、同学部には「グローバル人材育成プログラム」が設けられており、タイとシンガポールへ視察に行くチャンスや、チュラロンコン大学ほか相手国の大学と共同でのセミナーも持たれています。同様に法学部でも、海外からの参加者も招いて数週間にわたるセミナーを同学部で行うなど、国際交流の機会の充実が図られています。
以上の社会科学系の学部に対して、人文系の領域では、情報文化学部の社会システム情報学科、教育学部の国際社会文化コース、文学部の東洋史学研究室などから、自身の興味・関心に応じて選んでいくと良いでしょう。とりわけ、最後に挙げた東洋史学に関し、一口に「東洋史」と言っても、大学によっては主に中国、台湾や朝鮮半島界隈(あるいは、ややもすると中国のみ)を扱う教員しかいなかったりするものですが、同学では東南アジアが専門の教員も配属されており、集中して学んでいくのに適していそうです。
3. 補説 - 大学院の研究科
今週、これまでにとりあげた東北大学と北海道大学については大学院のことも少々ふれてきたので、ここでも付け加えておくと、名古屋大学には国際開発研究科という独立研究科があります。そのように新興国や途上国へ特化した単独の研究科を持っているのは、旧帝大では名大だけです。同学のほか、主要国立大学のなかでは、神戸大学と広島大学(*)の国際協力研究科が挙げられます。
冒頭で挙げたノーベル賞に関連して、こうした大学の関係者から将来もしノーベル平和賞の受賞者が現れれば快挙でしょう。もっとも、経済学賞の受賞者は学者が中心なのに対して平和賞の受賞者は様々ですし、あまり他人にばかり期待するより自分はどうなのだ、という話にも…
(*)追記事項:広島大学の国際協力研究科は、他の研究科とともに2020年度より人間社会科学研究科へ統合されています。