1. 北海道大学 概説
北海道大学では、前回とりあげた東北大学と同じく、教育学院・教育学部でアジアを冠したプログラム、ESDキャンパスアジア・プログラムが推進されています。ただ、このプログラムの提携先としては、中国や韓国など馴染みの取り合わせに加えて東南アジアでも一校、タイのチュラロンコン大学が含まれており、同校への短期留学等もサポートしています。
その他の学部だと、一つには例えば、アジアについて学ぶべく(東北大学のところで書いたのと同様に)文学部へ入学し、人間システム科学か総合文化論、ないしアジア・アラブ文化論コースを履修することが考えられます。あるいはまた、ディシプリンに注目し、文系で人気のある社会科学分野から言えば、法学部へ入って国際経済法や国際私法を学ぶという手もあるでしょう。
2. 補説 - 大学院の研究科
前回、東北大学に関して学部だけでなく大学院も一部ふれたついでに、北海道大学の大学院についても少しとりあげておきます。
同学には、国際広報メディア・観光学院という、旧帝大では珍しく「観光」を学問として、学位(観光学)も認めている大学院があります。他国では、例えば先月に挙げたタイのマヒドン大学でツーリズム&ホスピタリティ・マネジメントの専攻がありますし、それ以外にも、フィリピン大学の旗艦校、ディリマン校でツーリズム専攻の学士課程を持つ部局(Asian Institute of Tourism)があります。
この点、日本では観光学どころか、もっとメジャーな経営学さえ、旧帝大クラスの学生が専門とするにはあまり良く見られない風潮があったようです(※)。かつてから科目としては存在してきた経営学も、学位としては、例えば京都大学では近年、欧米のビジネス・スクールに模した専門職課程を始めてから、その修了者に授与しているだけですし、東京大学に至っては、今年度より大学院の課程に限って経営学の学位を認めだした程度です。
こうしたなか、北海道大学の国際広報メディア・観光学院の存在はユニークで、将来的に前掲のような他国の大学との協力も含め、今後の活躍が期待されます。
※ 経済学と経営学といった大まかな序列に限らず、もう少し細かいレベルまでその辺りの雰囲気をつかむ、レファレンスとして次の通り挙げておきます: 林 周二(2004)『研究者という職業』東京図書、157頁。