東南アジアで学ぶ: インドネシア大学

投稿者: | 2015年8月17日

1. インドネシア大学 概説

今回のテーマは、QSの世界ランキングで上位に挙がる東南アジアの大学のうち、まだ個別にふれていなかった国の最高学府、インドネシア大学です。

同校も、タイの大学と同様に通常は国語で授業を行い、それとは分けて、インターナショナル・クラス等として英語での課程を別に設けています。何年か前の記憶では、英語による課程もあったのは大学院レベルの二つの専攻(経済学、公衆衛生)程度だった気がしますが、少なくとも現在では、学部レベルも含めて幾つか置かれるようになっています。ただ、旧宗主国のオランダなど他国の大学とのジョイント・ディグリーのコースも少なくなく、同校が単独で運営している課程は、そのうちの一部です。

2. インドネシアの通学費と通貨

コストについてですが、この課程の授業料は、いわゆる文系の学部で一学期につき2,500~3,000万ルピア(2015年度)、日本円で22.5~27万円(1,000ルピア=9円で計算)と、日本の国立大学と同等のラインです。

とはいえ、インドネシアに関しては、 その通貨の動向が気になります。同国に限らずアジア新興国の通貨の日本円との為替レートは、2007~2008年の世界金融危機で暴落し、その後2011~2012年を中心とする円高の時期を経て、ここ数年で大きく持ち直してきた通貨が多いですが、今まで主にふれてきたASEANの5ヶ国(原加盟国)のなかではインドネシアのルピアだけが、円高だった頃の為替レートと変わらない水準のままで推移しています(※)。

3. その他の注意点

折しもこの数ヶ月は、欧州のギリシャ問題や、これまで中国政府等が押し上げてきた同国の株式相場の急落など、世界的な金融不安から、アジア新興国の通貨も総じて不安定になってきています。現時点ではまだ、この先1990年代後半のアジア通貨危機のようなレベルまで深刻化しそうか予想するには早いですが、ただ、その危機においてはインドネシアで治安の悪化が見られ、現地で暮らす外国人に(華人を中心として)少なからず死傷者を出したこともあり、気がかりの材料ではあります。

※ 具体的には、2007年に1,000ルピアで14円近くまで上がったところから翌年末頃にかけて7円台まで下がり、その後、2010~2012年の円高の間は8~10円台で動いていましたが、今なお9円ぐらいのままです。

ちなみに、近年この5ヶ国の通貨で最も強いのはシンガポール・ドルで、約80円(1シンガポール・ドル)だった金融危機前の高値をも上回り、昨年末と今年に一時期90円台へ乗りました。シンガポールの次にフィリピン・ペソが強く、今年になって危機前の高値を更新しましたが、ここへ来て少し弱含みになっています。他の通貨、タイ・バーツとマレーシア・リンギットは、危機後の安値からは相当に持ち直したものの、危機前の高値へ達することなく、やはり最近は下落してきました(特に、後者のリンギット)。

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