大学の世界ランキング(QS)について

投稿者: | 2015年7月31日

1. 今後の当サイトの方針

今まで続けてきた、日本国内の個々の大学に関する投稿は一旦これまでとして、月も変わる次の投稿からは新たに、東南アジアの大学について幾つか個別に書いていきます。

この他、今回は挙げない日本と東南アジアの大学も、後日に順次とりあげていく予定です。ただ、その際も、先日の投稿でふれたQSの世界ランキングを参考に、およそ400位までの大学を主な対象とするつもりでいます。

なお、それに次ぐランクの、日本で言うと首都大学東京(2014年度 441-450位)など主要公立大学、あるいは千葉大(同 491-500位)や岡山大(501-550位)ほか旧制医科大学クラスと、東南アジアで言えばフィリピンのアテネオ・デ・マニラ大学(※)とインドネシアのバンドン工科大学(両校とも461-470位)といったレベルの大学にも、いずれはふれていきたいと思います。

2. QSランキングの留意点 - 英語圏の先進国・地域

さて、このサイトで目安にしているQSの大学ランキングについてですが、先日の投稿で挙げたバイアス以外にも、幾つか留意すべき点はあります。

例えば、他と比べ、英連邦に属する国・地域の大学へ、総じて高めのランクを付けがちであるように見受けられます。

より具体的には、東アジアで言うと、シンガポールなど、小学校も卒業しない内から生徒を選別し始め、大学へ進学できる学生を絞り込んで高等教育の質を保とうとしてきた国の大学はまだしも、(国ではありませんが)香港などは多くの大学が200位以内に入っていて、ランク・インしていない方がむしろ少ないような気さえします。

大学ランキングの評価に関して、国際的な学術誌への論文掲載や、学会での活動といった点で、英語に不自由しない分の影響が多少とも出てくるのは避けられないにせよ、他方の非英語圏の大学にあっては不利なランク付けになります。

3. QSランキングの留意点 - 各国経済の発展程度

また、国別に見ていけば、各国の大学のランキングが、ある程度、その国の経済発展の度合いと比例している、といったことも見て取れます。

(別頁で一覧にしてある)ASEAN諸国の大学のランキングにしても、「高所得国」であるシンガポールの大学を筆頭に、「高位中所得国」のマレーシアとタイの上位大学が続き、その後に「低位中所得国」のインドネシアとフィリピンのトップ校までが何とか400位以内にランク・イン、という形になっています。

この5ヶ国は、ASEANが1967年に結成された当時からの原加盟国ですが、後に加盟した残りの5ヶ国については、各国最高の大学でも500位にすら届かない位置にあります。

そのうち1980年代に加盟したブルネイは、経済的には繁栄しているものの、国内に豊富なエネルギー資源の賜物であって工業化によるものではなく、一方、1990年代に加盟した他の4ヶ国(カンボジアラオスミャンマーベトナム)は、いずれも「低所得国」等として位置づけられ、しばしば、各国の頭文字を取ってCLMVと総称されたりします。

※ このアテネオ・デ・マニラ大学は、今までに挙げた東南アジアの大学のなかで唯一の私学です。イエズス会という、日本でも上智大学を運営しているキリスト教(カトリック)系の組織が、その経営母体です。

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