1. 阪大の沿革
東京大学、京都大学と来て、その次にとりあげるのは大阪大学です。
阪大は、今でこそQSの世界ランキングでも日本国内のイメージでもNo. 3の旧帝大としての座を固めていますが、歴史的に見れば、帝国大学として発足したのは1930年代と、それほど早くはありません。実際のところ、東京、京都、東北、九州、北海道の5つの帝国大学が1910年代までに設立され、1920年代には京城(現・韓国ソウル)と台北(台湾)にも帝国大学が設立された、それよりさらに後のことでした。
なおかつ、当初は医、理、工学といった理系の学部しかなく、いわゆる文系の学部も有する総合大学になったのは戦後の話です。こうした経緯もあり、歴代、大阪大学の総長は理系出身者が独占してきましたが、2007年、文系出身者が初めて総長に就任します。
ちなみに、それと対照的なのが京都大学で、かつては文系出身の総長も見られたものの、ここ半世紀近く総長は理系出身者が占めてきているようです。
2. 阪大の変革
余談はさておき、実際、医学部を筆頭に戦後も長らく理系のイメージが強かった大阪大学ですが、2007年に大阪外国語大学を統合するなど、近年は文系の領域でも強化が進んできました。
結果として、旧外大が母体の外国語学部における各アジア言語専攻に加え、それ以外でも、例えば人間科学部(※)の「グローバル人間学」(2016年度に計画されている同研究科(大学院)の改組後は、おそらく「共生学」)など、幾つかの学部で国際的な色彩の強い専攻等が設けられています。
この他、大学院レベルでは1990年代に発足していた国際公共政策研究科(独立研究科)に対し、2008年、学部レベルでも国際公共政策学科が法学部の中に設けられました。
3. 阪大で変革
同じ関西圏の旧帝大、京都大学のように特段、東南アジアに強い、といったことはありませんが、先述のとおり外国語大学まで統合した今、交換留学の派遣先も充実していたりと、大阪大学へ進学することで利用できる機会は少なくないでしょう。
※ 京都大学の総合人間学部と名称が似ていますが、そちらは教養部の廃止を受けて発足したのと異なり、大阪大学の人間科学部は前々(1970年代)からあるもので、当時からのディシプリンとしては主に教育学、心理学、社会学などが扱われてきました。