日本でアジアを究める: (1) 東京大学

投稿者: | 2015年7月23日

1. 前説

これより来月(2015年8月)上旬にかけて8回ほどの予定で、前回ふれたアジアの大学から幾つか個別的に記事を書いていきます。それに当たって、ASEAN(東南アジア諸国連合)の大学よりも先に、まず日本国内の上位大学を4回にわたって今月とりあげていこうと思います。

というのも、その理由として、(1) ASEANの大学は9月ごろから新年度の始まることが一般的なので、中等教育を日本で受けた場合、4月から始まる国内の大学へ進学した方がタイム・ロスも少なく、スムーズであるうえ、(2) 日本の大学でも旧帝大クラスなら、今のところ、マレーシアなど各国(※)のトップ校より国際的な評価も高いですし、こうした大学にもし現役で合格できれば、そちらへ入学してアジアについて学び、それから在学中に交換留学等で現地へ行く機会を持つ、といった道も考えられます。

2. 教養のススメ - 東大 教養学部

最初に今回とりあげるのは日本の最高峰、東京大学です。

東大へ入学する場合、この目的のためには、3年次からの後期課程(=専門課程)で教養学部へ進み、教養学科 地域文化研究分科のアジア・日本研究コースで学ぶのが(その名称からしても)最も近いように思われます。ただ、所属している教員の専門領域等から察するに、現状では、中国など北東アジアと比べると東南アジアに関しては少し手薄にも見えます。

その点、同じ教養学科でも総合社会科学分科で、社会科学の基本的なディシプリンを幾つかみっちりと習得し、例えば経済発展や開発問題について学んでいった方が身になるかもしれません(人文系など、アプローチの好み次第では、前者のコースも良いでしょう)。

3. 進振りに振り回されない

とはいえ、東大に関しては一つ問題があり、進学振分け(略して「進振り」)という独自の制度を採られています。入学段階では文科(理科)一~三類という少し変わった名称の所属になり、2年次前半の学期が終わった後に、科類別の一定の範囲内で各学生の希望に応じ、それまでの成績順で、3年次より属する学部・専攻に各々の定員まで振り分けられていく、というものです。

そして教養学科の諸専攻については、もともと文科一類、二類よりも三類に多く定員を割り当てられ、この文科三類で入学して教養学部へ進むのが主流でした。しかし、例年それ以上に文科三類からの進学希望者が多く、結果として、かなり高い成績を収めていないと文科三類からでは厳しい一方、文科一類か二類からは比較的容易に(=そこまで成績が高くなくても)希望すれば進学できる、といったような現象が生じてきました。

これまでにも進振りの制度はたびたび手を加えられてきており、こうした状況が今後も続くか保証の限りではありませんが、もし東大を受験する場合は頭に入れておいて損は無いはずです。

 

※ ここでは、生活費も学費も高めなシンガポールを除きます。

 

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